【エッチ小説】卒業直前、制服の、彼女。キス専用美容液でヌレヌレ、大人への階段。(1話)
「――ん? 口紅でも、塗ってきた?」
放課後の、化学準備室。
いつものように、放課後になるなり、やっほー! なんて、遊びに来た彼女を振り返るなり、僕はそう問ってしまった。
窓から降り注ぐ太陽の光にキラキラと、なんだか彼女の唇が、
……ん? 今日は、とても綺麗だぞ? っと。
「さて、いよいよ大学デビューの準備かな?」
「えっへへへへっ」
くしゃりと笑って、彼女は僕の横に駆け寄ってくると、僕のコーヒーカップに口をつけた。
「新しい彼氏でも、作るつもりかい?」
大学、デビュー。
そう、もうすぐ彼女は卒業してしまうから、こんな時間も、実際のところもう最後なんだよな。
ふと思って、ちょっとだけ切ない気分になってしまう、僕。
まあ、でも、
「やだなぁ、私は先生一筋! だって、言ってるじゃないの? ねえ?」
――先生、私、先生のこと、好きになっちゃったみたい! だから、付き合って! ね、お願いっ!
告白された時も、そんな感じでストレートだったけど、その頃から彼女の真っ直ぐ無垢な言葉は変わっていなかった。
言われる度に、それでも、慣れない。……というか、言われる度に、何度でも嬉しくなってしまう。
「卒業しちゃえば、誰にも文句言われず付き合えるわ。清々しちゃう」
彼女の言うとおり、確かにそれだけはちょっと嬉しいことかも知れないな。
今までは皆に隠れて付き合っていたものだから、ある意味、学校中の誰もが、敵、だったのだけど。
「まぁ、よく言えばスリリングな恋愛だったけど。そういう意味では、楽しかったけどね~!」
「僕はいつ君がボロを出すんじゃないかって、すっごく、不安だったけどネ」
やれやれ、とため息を吐いて見せると、彼女と目があった。
……やっぱり今日は、その唇に視線が、吸い寄せられる。
いや、何が違う、とか、そういうことは、言えないのだけれど。
「じゃじゃ~ん! 見て見て、これっ! こんなの、買っちゃった!」
言って彼女は、さも自慢気に、制服のポケットの中から細長いスティック状の、……化粧品? を取り出した。
「"オトコたたせるキス専用美容液『Nule Nule(ヌレヌレ)』でキス力を高める!" って感じの、ちょっとえっちな乙女のアイテムですっ! ね、名前からして、ヌレヌレ、だからっ! ヌレヌレ、なんちゃって、大人への階段昇ぼっちゃ……、」
「ちょ、そんな大声で、そういうこと言わないのっ!」
慌てて彼女の唇を手で塞ぐ。
ん? 何か私、悪いこと言った?
言わんばかりの彼女と、ぱちくり、ぱちぱちと目を合わせる。
僕は彼女の口から、そっと手を離す。
――そして、
「んっ、先生……っ――、」
柔らかな唇に、僕の唇を重ねた。