【エッチ小説】旧校舎、取り壊し。久々の集まりの前に~先輩と後輩の、カップル。(1話)
高校時代の、旧校舎が取り壊される、と聞いて。
だから、もう七年ぶりくらいに、怪奇クラブの皆で集まることが決まって。
抜けるような、青空。五月の涼しい風。
遠くから、新校舎で休日の部活動に勤しむ、若い男女の声とボールの蹴り飛ばされる音が聞こえてきて。
吹奏楽部のトランペットの音が、空高く響き渡る。
太陽の光で眩しく輝く、二階建ての校舎を見上げて。
俺は隣で笑う、白いワンピース姿の彼女の肩をぐっと抱き寄せ、旧校舎の中に彼女を促したのだった。
「うわあ、懐かしい!!」
「よりいっそボロっちくなってるなぁ~」
旧校舎の入り口は、表面的には閉ざされていたけれど、俺達は旧校舎を教員達よりもずっとよく知り尽くしていたから、侵入するのは容易いことだった。
でも、しばらくあまり人の出入りも無かったのだろう。歩く度に、床からふわりと埃が舞い上がり、差し込む太陽の光に足跡がきらきらと輝く。
手を繋いで、彼女を促し、階段を昇る。
取り壊してしまう旧校舎をゆっくりと見て回りたかったけど、それは他の部員が来てからで十分なような気がして。
真っ先に向かう先は、俺達の、あの頃の部室。――部室、と言っても、旧校舎を使うような部活は他に無かったから、この建物全部が全部、俺達の部室のようなものだったけど、
「着いたっ!」
彼女が両手をぱんっ、と叩いて喜ぶのを背に、俺は図書館の扉を開ける。教室名を示す札が、ドアの開く音に合わせて、ガタガタと立て付けが悪そうに揺れていた。
埃っぽい匂いが、鼻をつく。でもそうは言っても、全く手入れをされていなかったのとはまた違っていて、少し掃除さえすれば、あの頃のように七人で放課後の暇を潰して楽しむことができそうな状態だった。
俺と彼女は、自然と、当時のように手を繋いで、部室に入る。
あら? いらっしゃい、今日も仲がヨロシイようで――と、部長を中心とした仲間から、ヒューヒュー! なんて、迎えられたのが懐かしい。
静かな部室。
俺と彼女の視線が絡み合い、声を立てて笑いあう。
木造りの本棚の中には、新校舎移転の時に置き去りにされた本達と、俺達がこそこそと集めたまま置き去りにされた漫画や雑誌が、まばらに並んだままだった。
彼女が俺の手を引いて、貸出返却用のカウンターの中へと俺を誘う。彼女の居場所は、いつもそこ。俺の居場所は、そのカウンターを挟んだ向かい側。部長は窓辺。その他のメンバーも、概ね場所が決まっていて、
「そう、この椅子! 私の椅子! そのまんまだっ、……埃っぽいけど!」
昔座ってよく居眠りしていた椅子の埃をハンカチで払い、少し感慨深げに、愛おしそうに、ゆっくりと腰を下ろす。
俺はすかさず彼女と向かい合わせになるように、その上に腰を下ろした。――もちろん、全体重をかけるようなことはしなかったけど。
「こらっ、ちょっと! 重っ、……んっ、」
少し強引に唇を塞ぎ、彼女の小さな口の奥までぐっと舌を差し込んだ。
白い頬に手を添え、逃げようとした彼女の舌を絡め取り、少し強めに吸い上げる。
唇を放す時に、ちゅぱっ、と音が響き、
「――もうっ!」
「懐かしいだろ? よく二人っきりの時、こういうこと、してたじゃないか」
少し意地悪に、笑って見せた。